医療従事者への差別(排除)

新型コロナウイルス感染者の治療にあたっていた医師一人がコロナウイルスに感染した。病院によると他の職員の感染は確認されなかったが、その病院に勤めている看護士の女性が保育園に子どもを預けに行ったところ、保育園側から「病院に出入りした人の子どもは受け入れができない」と言われた。感染した医師との接触がないことを説明したが対応は変わらず、結局、子どもを預ける場所がなく、当日は仕事を休まざるを得なくなった。

考察ポイント
  • 差別・偏見とは。差別・偏見が起きるメカニズムを学ぶ。
  • 医療従事者に対する差別・偏見を心理的に考える。

仮説(みんなの意見)

  • 集団の中でリスクが高い人を排除する
  • 自分の子どもに感染するかもと心配・不安・恐怖
  • 子どもが感染すると親の仕事に影響が出る
集団の中の心理学 ⇒ 集団心理学

偏見・差別は第3の感染症と言われているのじゃ。

学ぶ・考える

なぜ偏見・差別が生まれるのか

第1の感染症はコロナウイルスに感染し病気になること
第2の感染症は感染への不安や恐怖が強くなること
第3の感染症はそこから偏見・差別が生まれることです。
どういったメカニズムで偏見・差別につながるのか、考えます。
日本赤十字社「新型コロナウイルスの3つの顔を知ろう!~負のスパイラルを断ち切るために~」より
偏見・差別の定義


ある集団に属している人々に対して、特定の性格や資質を「みんなが持っている」ように見えたり、 信じたりする傾向がステレオタイプ(先入観)。 それに好感・嫌悪・軽蔑など個人的な感情を入れたものが偏見。 そしてこれらを元に接近・回避などの行動として現れたのが差別である。

見えない敵への不安


ウイルスのように目に見えず実態としてとらえにくいものに対し不安や恐れを感じます。 不安はストレスになり、自己防衛本能が働き、自分の心と体を守ろうとします。

特定の対象を見える敵とみなして嫌悪の対象とする

スケープゴート理論

「スケープゴート」は、「身代わり」などの意味合いを持った言葉です。

人は無意識のうちに、不満や不快を覚えると、不快感などを他者に対して抱きます。 集団の中では、この不快感の原因が不明な段階で、原因や責任をある個人に押しつけ、避難したり差別が行われます。

特定の対象を偏見・差別し遠ざけて安心感を得る

エラー管理理論
(Error manegement theory Haselton & Buss, 2000)

はっきりとしたした情報がない中で他者と接触する場合、2種類の判断エラーが起きる。 自分にとって不利益になるエラーの発生を極力低減させようとすると、相対的にもう一方のエラーの発生の軽視につながるという理論

非感染者
感染者

エラー1 非感染者を感染者と間違えて判断する

エラー2 感染者を非感染者と間違えて判断する

図:メンバーが自作

エラー2の場合、感染者を感染者ではないと判断し接触してしまえば、自らの健康が危機にさらされるリスクは大きくなります。 当然避けたいエラーであるため極力低減させたいと考え、相対的にエラー1も軽視されてしまうということです。 少しでも感染の可能性がある医療従事者を必要以上にさけたり、感染者であるかのように捉えてしまうのはこのエラー2の動きによるものと考えられます。

ここまでのまとめ
  • 見えない敵への不安から、特定の対象を見える敵とみなして嫌悪の対象とし差別・偏見し遠ざけることで安心感を得ている。

なるほど、偏見や差別にも脳の働きが関係しているんだね。

コロナ禍での心の動き

ex3-4
図:メンバーが自作

コロナウイルスは目に見えません。しかし、ニュースやSNS等で感染の情報を見ていると 実際に攻撃されているような気持ちになります。 治療方法が確立されていない中、感染の恐怖が不安を増幅させ、見えない敵に対してどう対応したらよいかわからなくなります。

ex3-5
図:メンバーが自作

不安をぶつける先がないため、コロナウイルスに近い立場の医療従事者を敵とみなして 遠ざけようとしてしまいます。

心に不安や恐怖があるとそれを取り除きたいと思うのは当然ですが、見える敵を作り出して見えない敵と戦ってしまうことが分かりました。 敵を作り出す前に、不安や恐怖を少しでも小さくするために私たちが今できることは何か考えす。 また、家族や身近な人が差別される側になったとき私たちができることを考えます。