マスクをめぐる問題

2月頃からコロナウイルスによる社会問題として激化したのが、外出時のマスク着用をめぐるトラブルだ。海外・国内を問わず、差別・暴力・脅迫などが起こっている。 例として、2月に日本の福岡市で「電車内でせきをしているのにマスクをつけてない人がいる」として非常ボタンが押された。 また、マスク未着用者を咎める「マスク警察」なるものが現れるなどした。

考察ポイント
  • 公共の場所でマスクを着用しない人の理由とそれに対する心理を考える。
  • マスク未着用者に対して、差別をする人や暴力、マスク警察になってしまう人の心理を考える。

仮説(みんなの意見)

マスクを着用しない人の心理

  • 周りの人たちがマスクしてくれるから自分は大丈夫
  • 周りの流れや運動に惑わされないようにと言う心理が裏目に出ている
  • 自分はかからないと思う(自分の経験談で考えてしまう)
  • マスクの効果の信憑性を疑っている(都合のよい情報を信じる)
  • マスクの使い方の認識
「集団の中でどう行動するか」に関わる  「集団心理学」
マスク未着用者を差別する人の心理

  • 正義感をもってやっている、どこからその正義感がくるのか、どこを守るのか?
  • 他人に自分の正義を押し付けている。
  • コロナ禍による恐怖
  • ただ、たたきたい(ストレス発散)
「自分と他者の関係」に関わる  「社会心理学」

ここからは、マスク着用をめぐるトラブルをいくつか見てみよう。

学ぶ・考える

  • 電車内でマスクをしてない人が「次の駅で下りろ‼」と怒鳴られた。
  • マスク未着用の男性が暴力を振るわれていた。
  • 公園でマスクをしていない子供が近所の高齢者から 「年寄りを殺そうとしているのか」と怒鳴られた

こうしたトラブルが起きるのはマスク未着用者が存在することと、それに対して批判的な行動をする人がいることで発生します。 この両方の視点を見ていきます。
一つ目は、マスクを着用しない人の心理。
二つ目は、マスク未着用者を差別する人の心理。

マスクを着用しない人の心理

WHO(世界保健機関)はマスク重視の見解をしていますし、 国の専門家会議も公共機関などでのマスク着用を促して「手洗い」よりも重要性を見出しています。 それなのになぜ着用しないのか。実際の理由をいくつか挙げてみました。

  1. 周りの人達がしてくれているから
  2. 自分はかからないと思っている
  3. マスクの効果の信憑性がない
  4. 体の病でつけられない
  5. WHOや国が信じられない

などです。私達が仮説で書いたものが二つありますね。これらについて詳しく見ていきます。

周りの人達がしてくれているから

リンゲルマン効果

「リンゲルマン効果」とは、集団で作業をする時一人当たりの課題遂行量が人数の増加と共に低下する現象で、 つまり大人数の集団でやればやるほど一人一人が手を抜きやすくなるということ。

今回の場合では、コロナウイルスの感染防止のためマスクをするべきだが、 世間や周りが積極的にしているから自分一人位していなくても大丈夫だろうという心理的状況になる分けです。 そして、先ほど書いた通り「リンゲルマン効果」というのは人数が多くなればなるほど怠ける者が出てくる現象なので、 マスク着用が世界中・日本中で流行した際、少なからず周りに任せてマスクを着用しない人が現れるのです。

自分はかからないと思っている

楽観バイアス

「楽観バイアス」とは、物事を自分にとって都合よく解釈してしまうことです。 日常生活における心理的なストレスを軽減するため、無意識に行われます。

今回、コロナで変化した生活や仕事環境によるストレスを軽減するため無意識のうちに、 コロナウイルスの感染が拡大しているが自身は感染しないと思い込んでしまう事によってマスクをする必要がないと考えてしまう。

番外編‼

スノッブ効果

多くの人々が支持しているものこそ自分は選ばない。 需要が高まり過ぎると差別化をしたくなる心理。

マスク未着用者を差別する人の心理

次に、マスク未着用者に対して差別的対応をする人たちの心理を考えていきます。 今回のコロナでマスク未着用者に対する差別は様々なものがあります。

  • マスク警察や自粛警察
  • 暴力
  • いじめ
  • 暴言・誹謗中傷
  • 公共機関からの排除・・・排除の心理は次の事例でやっているのでそちらを参照してください。
                →医療従事者への差別(排除)

などです。中でも、「マスク警察や自粛警察」に焦点を当てて見ましょう。
ポイントは「規律重視」と「正義感」の二つあります。

ポイント1

規律重視

日本はたくさんのルールやマナーが存在し、それらによって高い民度や規律性が保たれています。 しかし、そういった状況にはデメリットもあり、マスク警察や自粛警察なる者が現れやすいのです。 では肝心の心理はどうなっているのでしょうか。この場合の心理は二つあります。

同調圧力

同調圧力が悪く働いてしまうと、昨今の○○警察のように、 わずかな違いを見つけて攻撃したりや、流れに逆らう人を差別するなど、異論を排除する方向に働いてしまいます。

不公平感

私達は、漠然と「世の中は公平にできている」という考えを持っています。 そして、世の中は公平なのだから、悪いことをした人には何かしらの「罰」が当たると考えてしまっているのです。
ここから発展して、みんなが我慢して大変なときに、 それをしないで気ままに生活している人はずるい・不公平だと感じ、「罰」が当たって当然だと考えてしまい、 自ら罰を与えることにも抵抗感がなくなってしまい、○○警察といった行動に出てしまうのです。

ポイント2

正義感

「正義感」とは、不正を憎み正義を尊んだり、自分が正しいと思ったことを通そうとする気持ち・感情のことです。 一見良い事のように聞こえるかもしれませんが、裏を返せば思い込みが激しいという事で、不正をしている者のことを考えずに言動をしてしまうことがあるのです。
ではなぜ、思い込みをしてしまうのでしょうか?

自分を守りたい

自分を守りたいために、被害妄想をしたり人間不信になったりします。 被害妄想とは、自分が他人からありもしない被害を受けていると思い込んでしまうことで、 マスクを着けていない人が自分にコロナを感染させようとしていると考えてしまいます。 また、人間不信も関わっており、他人がコロナに感染していない可能性を考えなかったりしています。

自分の経験を信じる

自分の過去の経験談や成功例を元に行動をしてしまうことがあり、そしてそれに反する人達に勝手にレッテルを貼ったりします。 「マスクをしない人は高い確率でかかるのにしない人は愚かだ。」などとし、差別したり正そうとします。

ここまでのまとめ

  • コロナがもたらした様々なストレスによって、「一人くらいサボっても大丈夫」と自分の都合のいいように考えてしまう。
  • 日本の規律やマナーを大事にする社会状況が、それらから外れた者たちを差別し攻撃する心理を作り出している。
  • 「自分本意」を「正義感」にみせて差別的言動をしている。

人の行動には必ず理由があるんだね。心理学が少しわかってきたよ。

コロナ禍での心の動き

リンゲルマン効果

図:メンバーが自作

楽観バイアス

図:メンバーが自作

コロナによって新しい生活様式に変化し、それによるストレスが一人くらいサボっても大丈夫という考えを発生させ、 自分勝手な行動をしてしまうということが分かりました。
それでは、自分の身近な人にマスクを着けていない人がいた場合、どう対処したらいいのか考えましょう。